街と村 ご紹介

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ミルトン・アッバス   Milton Abbas
               2012年6月7日 訪問  水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。

昨日の訪問予定であったミルトン・アッバスは見逃せない。18世紀の家並みが残る村である。オープン時間も関係ないので、朝一番で向かう。
9時40分到着。降りしきる雨の中、まだ村は眠りの中のようだ。東から村に入る。林が開けると唐突にその村は現れた。村は眠っているが、こちらは目が覚めた。 通りに幾つか車は止まっているが、景観の邪魔にならないよう村の外れに車を止めて降りる。
雨もものかわ、夢中でシャッターを押す。どこか高いところから撮りたいが、それらしい場所も見当たらないし、足元も極めて悪い。 今度は晴れた日に脚立持参で来よう。と真剣に思う。今回は間に合わないのでGoogle Mapを参照あれ。

Milton Abbas Milton Abbas Milton Abbas Milton Abbas

この美しい家並みは”イギリスで最初の計画的に造られた村(The first planned settlement in England)”といわれる。 1780年に初代ドーチェスター伯爵(1st Earl of Dorchester)のミルトン卿(Lord Milton)が建築家のウィリアム・チェンバーズ(William Chambers)と ランドスケープ・ガーデナーのケーパビリティー・ブラウン(Capability Brown)に造らせたものだ。錚々たるメンバーだ。
と言うと、”立派な伯爵様”に見えるが、それがどうやら違うようなのだ。私が集めた情報の中から勝手に解釈したストーリーはこれだ。
上記"Google Map"を左上に動かすと"Milton Abbey School"がある。当時は"Milton Abbey"だったのだが、その南に新しい邸宅を上述の二人に造らせたのだが、 新居の南にあった村の景色が気に入らなかった伯爵は村を破壊し、森や湖を造らせたのだ。これが18世紀に流行ったランドスケープ・ガーデン(Landscape Garden)なのだ。 その村人たちを移住させたのが新しく造ったミルトン・アッバス村という訳だ。十分な軒数が確保されていれば問題はなかったのだが、 36軒しかなく1軒に大勢が押しこまれったのだという。中には抵抗する者もいて裁判沙汰になったとの記述も見られた(伯爵が敗訴)。イギリスの階級社会の一端だ。

Milton Abbas Milton Abbas Milton Abbas Milton Abbas

それは兎も角、さすがに当代一流の建築家とガーデナーによるものだ。緩やかに湾曲する広い通りに広い芝の前庭、家と家の間も広く当初は "Chestnut Tree"で仕切られていたのだ(1953年病気のため伐採)。家の裏の森の植栽も見事なものだ。 家は白く塗られた土壁に草葺の屋根、教会やパブもあったのだ。230年後にこんな景色を楽しめるのも、伯爵様の横暴のお陰となると複雑なものだ。
イギリスでは個人の家に名前がついているが、ここの建物にも嘗ての職業が偲ばれる名前が付いている。"Baker"、"Blacksmith"、"Brewery"などだ。 現在は救貧院(Almshouses)、パブ(Pub) 、郵便局(Post Office / shop)、学校(School)、教会 (Church)などの他は個人の家だ。
古い家並みは西の"Old Barn"(写真下左)から東のパブ"Hambro Arms"(写真下右)まで500m余りの道則だが、道路を川のように雨水が流れている。 今度来る時には本当にB&Bで脚立を借りてこよう。

Milton Abbas Milton Abbas Milton Abbas Milton Abbas

Information
 Address  Milton Abbas, Dorset
 Telephone  -
 Web Site  Milton Abbas

詳細はWeb Siteなどでご確認ください。

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